切迫早産の入院にはいろいろな不安や心配事がつきものですが、そのうちの1つがお金に関する不安ではないでしょうか。
赤ちゃんのためにもしっかり治療をしたいと思っていても、入院が長引くにつれてどれくらいのお金が必要になるのか心配になってきますよね。
インターネットで調べてみても、「人によって金額は変わる」だったり、「だいたい1日1万円程度」だったりと、とても曖昧な答え。
かと言って詳しく調べようとすると、めちゃくちゃ難しい専門用語や数字が出てきてなんのことだかさっぱりわからない。
「だいたいでいいから、自分の入院費用がいくらになるのか簡単にわかる方法はないかな…」そう思う方も多いのではないでしょうか。
病院によっては退院の時期が決まると費用の概算を出してくれる場合もありますが、できればもう少し早めに知れる方がいろいろと準備もできて助かるはず。
そこでこの記事では、切迫早産の入院にかかる費用について、およその金額がわかる計算方法についてまとめています。
詳しい知識がなくても計算することができるので、ぜひご自身の入院費の目安となる金額を確認してみてくださいね。

Contents
切迫早産にかかるお金は大きくわけて3つ
入院している病院や受けている治療によって多少の違いはありますが、切迫早産の入院における費用の内訳は大きくわけてこの3つになります。
- 治療費(点滴・妊婦検診・NSTなど)
- 食事代
- 個室代
つまりこれらの金額を出すことができれば、だいたいの入院費がわかるということになります。
そう思いますよね。でも大丈夫!
あくまで概算にはなりますが、これらの金額は簡単な計算で出すことができるんです。
1つずつ説明していきますね。
治療費
この記事では、入院しているときに行われる切迫早産に関する治療(点滴やNST、妊婦検診など)をまとめて「治療費」という呼び方をしています。
ここではこうした治療費について金額を確認していきましょう。
いいえ、治療費を出すのに自分が受けている詳しい治療内容を知っておく必要はありません。
ただ1つ、あなたが支払わないといけない治療費の上限金額だけわかれば大丈夫なんです。
支払わないといけない上限金額を知ろう:高額療養費制度
健康保険では、治療費が高額になった場合には一定金額以上は支払わなくてもよいという制度があります。
それを高額療養費制度といいます。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
(厚生労働省HP「高額療養費制度を利用される皆さまへ」より)
この上限額はそれぞれの収入(残業代、交通費など含む)によって下の表のように決められています。
ア | 年収約1,160万円~ | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
イ | 年収約770~約1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
ウ | 年収約370~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
エ | ~年収約370万円 | 57,600円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 |
(厚生労働省HP「高額療養費制度を利用される皆さまへ」より)
表の一番左が区分の名前、真ん中が受け取っている収入、一番右が1ヶ月あたりの医療費の上限額です。
この表を参考に、ご自身がどの区分にあてはまるかを確認してみてください。
ただし表中の年収はあくまで目安ですので、正確な区分を確認するにはご加入の健康保険に確認してくださいね。
そう思いますよね。これには理由があります。
切迫早産の入院では、10日~2週間ほど入院すれば治療費の金額がこの上限金額を超えてきます。
切迫早産の場合、10日~2週間以上入院することが多いと思うので、ご自身の上限金額=治療費で考えてもらえば十分です(^^)
ちなみにですが、表のア~ウの上限額に計算式が入っていますよね。
これはどういうことかというと、医療費が高くなるにつれて上限金額もあがっていくということです(エ、オは医療費がどこまであがっても上限金額は一定)。
下で例をあげて計算してみますね。
ここでは実際にわたしが入院したときの1ヶ月あたりの治療費約90万円をもとに計算してみます。
*区分ウの場合
80,100+(900,000-267,000)×1%
=80,100+6,330
=86,430円…これが上限金額となる
限度額適用認定証を申請しておこう
ここまででご自身が支払わないといけない治療費の金額はだいたいわかったかと思いますが、こんな疑問を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうなんです。この高額療養費という制度、上限を超えた分は支払わなくてもいいと決まっているのですが、制度を利用するには2つのパターンがあるんです。
- 一旦自分で全額支払い、あとから払い戻しがあるパターン
- 最初から上限金額までの支払いで済むパターン
どちらの方法も最終的な支出は同じ金額(自分の上限金額)になるのですが、一旦自分で全額支払うとなると少し負担が大きいですよね。
そのため、最初から上限金額までの支払いで済むように手続きをしておくことをおすすめします。(手続きをしなかった場合は一旦自分で全額支払い、あとから払い戻しをうけることになります)
「限度額適用認定証」という証明書をご加入の健康保険から発行してもらい、それを病院に提示すれば、最初から上限金額までの支払いで済むようになります。
この方法を利用するには病院から入院費の請求があるまでに限度額適用認定証を発行しておく必要があります。
病院によっては入院の際に説明をしてくれる場合もありますが、そうでない場合は一度病院とご加入の健康保険にご確認くださいね。
食事代
次に入院中の食事代を計算していきましょう。
実は入院中の食事代というのは、さきほどの高額療養費の区分ごとに決まっています。
- ア~エ… 460円/1食
- オ… 210円/1食
(厚生労働省HP「平成28年4月から 入院時の食費の負担額が変わります」より)
これは入院している病院や提供されるメニューによる違いはありません。
そのため入院中の食事代を出すには、1食の金額×3食×入院日数を計算すればいいということになります。
例として、区分エの人が20日入院した場合を出してみます。
*区分エの人が20日入院した場合
460(円)×3(食)×20(日)=27,600円…これが食事代となる
個室代
個室代ですが、これは入院している病院によって金額が異なります。
大部屋の場合は部屋代はかからないでしょうし、個室によってもランクがあるため、この金額については個別に病院へ確認をお願いします。
入院費の合計を計算してみよう
計算ルールの確認
ここまでで、
- 治療費(点滴・妊婦検診・NSTなど)
- 食事代
- 個室代
それぞれの金額の出し方はわかっていただけたでしょうか?
最後に、この3つの金額をすべて足して入院費の合計を計算してみましょう。
今回はこのような条件を例に計算してみます。
- 6月15日~7月10日(26日間)の入院
- 高額療養費の区分はエ
- 大部屋のため個室代は無し
入院費を計算する場合は入院日数にかかわらず、ひと月ごとに区切って計算をする。
どういうことかというと、たとえば今回の例では6月15日~7月10日の入院となっており、月をまたいでいますよね。
この場合は6月の16日間、7月の10日間の2つにわけて計算を行うことになります。
これは高額療養費がこのように「ひと月で」上限額を超えた場合というふうに決まっているためです。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初め
から終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。(厚生労働省HP「高額療養費制度を利用される皆さまへ」より)
計算してみよう
では、ルールを確認したところでここからは実際に計算をしてみます。
再度条件を確認したうえで計算を始めましょう。
- 6月15日~7月10日(26日間)の入院
- 高額療養費の区分はエ
- 大部屋のため個室代は無し
治療費
区分エなので、ひと月の上限金額は57,600円です。
これが6月分と7月分にそれぞれ発生しますので、治療費は
- 6月分…57,600円
- 7月分…57,600円
となります。
食事代
区分エなので、1食あたり460円の食費がかかります。
6月が16日間、7月が10日間の入院なので、
- 6月…460×3×16=22,080円
- 7月…460×3×10=13,800円
となります。
個室代
この例では、大部屋のため個室代は0円となっているので計算は行いません。
合計
最後に全部の金額を合計します。
6月 | 7月 | 合計 | |
治療費 | 57,600 | 57,600 | 115,200 |
食事代 | 22,080 | 13,800 | 35,880 |
個室代 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 79,680 | 71,400 | 151,080 |
これで、6月15日~7月10日(26日間)の入院費合計は151,080円ということがわかりました。
ちなみに、もし健康保険がつかえない(保険適用外)の治療などを受けた場合は、ここで計算した金額にプラスして費用がかかってきますのでご注意ください。
まとめ
この記事では、切迫早産の入院にかかる費用の計算方法についてお話をしました。
- 切迫早産の入院費はおもに、「治療費」「食事代」「個室代」の合計
- 治療費は高額療養費の上限金額と同じと考えてOK(10日以上の入院の場合)
- 食事代は1食460円と決まっている(非課税の方は210円)
- 個室代は病院ごとに違う
- 保険適用外の治療を受けている場合はその費用も足して計算する
入院費を自分で計算するというとなんだか大変そうに思えるかもしれませんが、やってみると実はそこまで難しいことではありません。
入院生活が長くなれば長くなるほどお金の面も不安が出てくると思いますが、だいたいの金額を確認することで事前に準備もできますし、入院中のストレスを少しでも減らすことができるのではないでしょうか。
ただし、繰り返しになりますがこの記事で紹介した計算方法はあくまでおよその金額です。
実際に病院から請求される金額とは大きく異なることもありますので、その点だけはご注意くださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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